解析力学から見た古典/量子Kepler系の解法

古典Kepler系の解析解 https://vertexoperator.github.io/2016/12/01/kepler2d_classical.html2次元量子Kepler系の束縛状態 https://vertexoperator.github.io/2016/12/01/kepler2d_quantum.htmlで、2次元のKepler系を、古典力学と量子力学で解いている。多…

Chapman-Jouguet理論

物理で定義とか真面目に考え出すと、辛いことになるけど、"法線方向の速度が不連続に変化する波面の伝播"を衝撃波と総称する立場からすると、発熱反応を伴う圧縮衝撃波がデトネーション波ということになる。発熱反応を伴う衝撃波では、膨張波も存在すること…

higher genus AGMは超幾何級数表示を持つか

a,bの算術幾何平均を、M(a,b)として、FがGauss超幾何関数の時であることは、よく知られてる。 19世紀後半に、Borchardtという人が、種数2のテータ関数(テータ定数)の倍角公式に基づいて、算術幾何平均の一般化を作ったようだ。[PDF] 算術平均の周辺:Borchar…

防御力の物理〜cavity expansion model

弓矢の貫通力 https://m-a-o.hatenablog.com/entry/2019/09/22/185608に書いたcavity expansion modelは、由来を、ちゃんと調べなかったけど、起源は、1945年の論文[1] The theory of indentation and hardness tests https://doi.org/10.1088/0959-5309/57/…

低次視覚野の計算モデル

今まで、(低次)視覚神経系のモデルについて、見聞きした雑多な話題として、(1)カブトガニの眼で側方抑制がどうたら...(1950年代後半〜1960年代初頭、Hartline & Ratliff) (2)ネコの一次視覚野(V1野)に、特定方向の線分に反応する細胞があるとか何とか(1959,H…

弓矢の貫通力

12〜16世紀くらいのヨーロッパでは、プレートアーマーが流行って、騎士たちは、全身金属板の鎧を付けて戦ったと言われる。プレートアーマーの重量は、表面積と厚みと鉄の密度の積となる。人間の表面積は、2(m^2)前後で、鉄の密度が7800(kg/m^3)くらいだから…

自由流線理論による揚力計算

何となしに目にした1951年の古い論文に、面白い計算が書かれていた。死水域を伴う任意翼型の特性 https://doi.org/10.2322/jjsass1948.4.30一様流中に(任意の迎角を持って)置かれた平板翼で、後端と上面の途中に剥離点がある場合、揚力がどうなるか計算して…

コンピュータ以前の数値計算(1) 三角関数表小史

現代の三角関数計算 三角関数の値を計算する方法として、現代人が素朴に思いつくのは (1)いくつかの角度に於ける値を事前に計算しておき、一般の場合は、それを補間した値を使う(2)Taylor展開の有限項近似の二つの方法だと思う。Taylor展開を使う場合、角度…

表現論と信号処理

SU(1,1)あるいは、SL(2,R)の既約ユニタリ表現には、limit of discrete seriesと呼ばれるクラスのものが、2つある(一方は、他方の反傾表現になっている)。limit of discrete seriesは、直訳すると、"離散系列の極限"だけど、極限離散系列とかいう言葉は、耳慣…

単語の分散表現を使った教師なし単語翻訳

NLP

論文)Word Translation Without Parallel Data https://arxiv.org/abs/1710.04087実装)facebookresearch/MUSE https://github.com/facebookresearch/MUSE 単語に実ベクトルを対応させるword embeddingsは、単語の分散表現の工学的な実現のように思われている…

非外科的な豊胸手法

ある時、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の推移を眺めていたら、ピークが10代ではなく20代にあることに気付いた。が、胸部サイズの成長は、むしろ10代に起こるだろうと思われるので、そう考えると、何らかの成長ホルモンの方が、支配的な影響を及ぼして…

光の位相演算子

誰か、闇の位相演算子も定義してほしいと思ったけど、ダークソリトンとかあるし、頑張れば何とかならないのだろうか本題。量子力学に於ける不確定性原理は、可換でない演算子の組があれば成立するものの、(1)時間とエネルギーの不確定性関係に於いて、時間演…

Airy関数、奴は超幾何四天王の中でも最弱

何とはなしに目にした論文arXiv:1401.0025で、超双曲方程式から、Airyの微分方程式への次元簡約が与えられていた。Gauss超幾何関数について、類似の簡約は、Selected topics in integral geometryという本のChapter2の1.2節が、"John transform and Gauss hy…

ある種の細胞老化は可逆かもしれないという話

個体老化が連続的に起こるのに対して、細胞老化は不連続な状態変化で、老化した細胞は、長期に渡って残って、SASPによって周囲に悪影響を及ぼすとされている。細胞老化は不可逆だと長年思われているので、ここ数年、老化細胞を殺して除去しようというのが、…

初期の"電気技術"史

大体、20世紀初頭くらいまでの話電磁気学の歴史については、Whittakerの A history of the theories of aether and electricity https://archive.org/details/historyoftheorie00whitrich という本を読むことになっているらしい(私は読んでないけど)。既に著…

スピン3以上のゲージ場(2)曲率の高スピン類似

(参考文献)The unitary representations of the Poincare group in any spacetime dimension https://arxiv.org/abs/hep-th/0611263 以下では、自然数の分割[n_1,...,n_k]という記号を使う。この時、n_1 >= n_2 >= ... >= n_k > 0となっている。で、物理の(…

鉄剣は必ずブロンズソードより強いのか

RPGだったら、ブロンズソードより、鉄剣の攻撃力が高くて高性能となるとこだけど、現実の人間は、HPと防御力が低すぎるので、石斧だろうが、ブロンズソードだろうが、当たりどころ(切られ所)が悪いと、簡単に死ぬ。もう少し真面目な話としては、春秋戦国時代…

CUDAの共役勾配法サンプルが遅かった話

https://gist.github.com/vertexoperator/e2550b012978e87edc2454a77f6c70bd

IgnatowskiによるLorentz変換の導出のvariation

Lorentz変換の代数的導出 https://vertexoperator.github.io/2018/07/05/ignatowski.htmlというのを書いた。正しいLorentz変換の式を書いたのは、Larmorが最初っぽい(1897年)けど、電磁場と電荷・電流の変換まで考えたのはLorentzらしい。特殊相対論では、光…

幾何学的モーメントの不変式とshape analysis

3DCGでよくやるように、何か(向き付けられた)閉曲面があって、その曲面は、三角形に分割(単体分割)されているとする。この時、曲面内部の領域の体積を計算するには、適当な一点Oを取って(特に理由がなければ原点でいい)、Oと各三角形がなす四面体の符号付き…

線形代数と解析力学

有限次元ベクトル空間Vに対して、対称代数と対称代数には、それぞれ自然なPoisson構造が入り、前者は解析力学で基本的なPoisson代数として現れる。後者は、行列上で定義された多項式関数の集合と同一視できるので、線形代数に於ける基本的な考察の対象とみな…

雑survey: 可積分性の必要条件と十分条件

Lax方程式は、可積分系で頻出する道具の一つで、現在知られている多くの(古典)可積分系で、等価なLax方程式が得られている。 Lax equation https://ncatlab.org/nlab/show/Lax+equation には"Lax equation is used in integrable systems; namely some syste…

Peter Woitという弦理論の批判で知られた人が、数年前にUse the Moment Map, not Noether's Theorem http://www.math.columbia.edu/~woit/wordpress/?p=7146という記事を書いていた(私には要点がイマイチ分からなかったが) ネーターの定理は、「保存量と対称…

Boltzmannの壺とEhrenfestの壺

最近読んだ論文の読書感想文コーナー[1]Statistical mechanics of money https://arxiv.org/abs/cond-mat/0001432 N個の壺とE個のボールがあって、ボールはどれかの壺に入っているとする(論文には、ボールではなく、moneyと書いてあるし、壺とは書いてないけ…

体積粘性係数の分子動力学計算

等方的な流体の場合、粘性係数には、shear viscosityとbulk viscosity(体積粘性係数)の2種類がある。水のような液体の場合、非圧縮性近似をするのが一般的なので、Navier-Stokes方程式で体積粘性係数がかかる項は0になる。気体の場合も、流速が音速よりずっ…

最近の老化研究

2017年3月の『Cell』の論文 Targeted Apoptosis of Senescent Cells Restores Tissue Homeostasis in Response to Chemotoxicity and Aging http://www.cell.com/fulltext/S0092-8674(17)30246-5大雑把には、(マウスの)"老化細胞"(Senescent cells)でアポト…

ノンパラメトリックベイズ(1)infinite GMM

元論文 [1]The Infinite Gaussian Mixture Model http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.45.9111論文中に"The likelihood for α may be derived from eq. (12)"とあるけど、何度読んでも、式(15)が式(12)から出るというのは無理がある気が…

俺たちは何回コインを投げるべきなのか

表と裏が同じ確率で出ることが期待されているコインがあり、コインにイカサマがないことを確認したいとする。なんやかんやあって、統計的手法で、不正の有無(つまり、コインの表が出る確率が50%か否か)に決着をつけることになった場合、コインを何回投げれば…

球面上の測地流は、古典力学系として見ると、球面の余接空間を相空間としている。その関数環はPoisson代数であり、Poisson括弧の具体的な計算も、Diracの方法によってDirac括弧として計算できる。このPoisson代数を眺めると、Euclidean Lie algebraの対称代…

水素原子の表現論・零(二次元の場合)

水素原子の表現論 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20140130#p1で、4次元だと、どうなるか考えたりしたけど、一番簡単な2次元をやってないことに、気付いたので、計算してみた2次元量子kepler系の束縛状態 http://formalgroup.tumblr.com/post/153902406125/2%E…