Vanishing Component Analysisがダメだと思うわけ

少し前に、少し話題になっていたVanishing Component Analysis(VCA)を実装してみたのだけど、よく考えると、これは全然ダメじゃないかという気がしてきた。 Vanishing Component Analysis http://jmlr.org/proceedings/papers/v28/livni13.pdf (2014/04/12追…

no-interaction theorem

というものがあることを、最近知った。 物理に於ける不変性と対称性 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20140130#p2 の微妙に続き 古典力学的な質点系に於いて、可能な相互作用の形は、ガリレイ不変性によって、ある程度制限される。例えば、方向に依存する二体相…

物理に於ける不変性と対称性

ガンマ線バースト天体の観測によりアインシュタイン相対性理論の適用限界に挑戦 http://www-heaf.hepl.hiroshima-u.ac.jp/glast/091028press/Hirodai_press.pdf というプレスリリースの「よくある質問と解答」という項目に 5)「ローレンツ不変」と「ローレン…

水素原子の表現論

たまたまGoogleで調べ物をしていた時、以下のような記事を見つけたある数理化学者のつぶやき http://j-molsci.jp/article/2007_1/A0013.pdf d軌道が何故5種類あるのかという質問に対して,水素原子のSchrodinger方程式を解けばLegendre の球面調和関数が答と…

計算不変式論の使い方:合同変換群の多項式不変量の計算事例

簡約群の(線形な作用に関する)不変式環(の生成元)を計算するアルゴリズムは、既に知られている(標数0の場合も正標数の場合も)(といっても、発見されたのは、ここ10年ほどのこと)。一方、簡約とは限らない一般の(アフィン)代数群については、不変式環が有限生…

はじめてのCubical

Thierry Coquandたちが、univalenceと両立する、dependent type theoryの新しいcomputationalなmodelを作ったと言っている A model of type theory in cubical sets http://www.cse.chalmers.se/~coquand/mod1.pdfこれを実装した処理系は Implementation of …

最近、少しトーリック多様体についてかじってみた。 symplectic toric多様体(単にsymplectic toric多様体というとコンパクト性は仮定されているのが普通っぽい)には、自然に運動量写像が付随して、その像はDelzant多面体という凸多面体になっていて、この多…

pythonからRisa/Asirを使ってみた記録

唐突にpythonからRisa/Asirを使えるようにしようと思った。pythonの場合、sympyやsageのような選択肢もあるけど、 ・sympy:全部pythonで書いてるので圧倒的に遅い。機能も多くはない。BSDライセンスらしい ・sage:Singularとかも使えるようなので、Sageでい…

食事回数の栄養学

食事回数について、一日三食がいいとか一日一食がいいとか色んな話があるらしい。食事くらい身近な話になると、自分の経験とかから色んなことを言う人がいる 「朝・昼・晩」以上食事する、理想の食事回数 - NAVERまとめ http://matome.naver.jp/odai/2135909…

分子動力学でRNAのフォールディングを追跡しようとして失敗した記録

RNAの二次構造予測と言えば、RNAfoldとmfoldがバイオインフォマィテクス業界の鉄板だと思うけど、未だに、こいつらのアルゴリズムを理解してないわたしは、こいつら本当に正しいのか信用できないのだった。というわけで、分子動力学で、RNAの二次構造を見て…

文法推論(1)Regular Positive Negative Inference

まじめに文法推論を勉強していこうと思う。 Grammatical Inference: Learning Automata and Grammars http://www.amazon.co.jp/Grammatical-Inference-Learning-Automata-Grammars/dp/0521763169 という本が出ていたりする 文法推論は、正規表現とか文脈自由…

加齢に従って、ミトコンドリアの機能低下・構造変化が起きるというのは、真核生物全般で広く確認できる事象で、それ自体が、加齢の原因であると考える人も、少なからずいる。若いうちは、機能低下を起こしたミトコンドリア(具体的には、膜電位の低下を目印に…

迷路ソルバー

ふと、A*-アルゴリズムって実装したことなかったな、と思ったので実装してみただけ。A*-アルゴリズムが正しいことは自明でないと思うのだけど、意外とどこにも証明とかなくて、結局、原論文を読めばいいという結論に至った。A Formal Basis for the Heuristi…

分子動力学での融点・沸点の計算

アルゴンの分子動力学計算 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20130917#p3 の疑問について。 アルゴン原子集団を、固体から加熱していった時と、気体から冷却していった時で、融点・沸点がずれるというのを書いたけど、過冷却とか、そのへんの話らしい。過冷却?…

Huモーメント不変量による類似画像検索

Googleが"画像で検索する"機能をリリースして、暫く経つ。他の人はどうか知らないけど、自分の場合、実際に使うときって、"同じ"画像を探すのにしか使わない。類似性というのは、色んな視点がありえるので、正しい答えというのもなく、そういう意味で難しい…

コヒーレント状態とウェーブレット変換(3) Cauchy waveletとaffine coherent state

少し勘違いしてたことなどを補足coherent state物語 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20130303#p2コヒーレント状態の有限群での類似物 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20130917#p1が(1)と(2)のつもり Short-time Fourier変換(STFT)の場合、Gauss窓を使うのは、Wey…

最近読んで面白かった話High Energy Asymptotics of Multi--Colour QCD and Exactly Solvable Lattice Models http://arxiv.org/abs/hep-th/9311037High energy QCD as a completely integrable model http://arxiv.org/abs/hep-th/9404173High-Energy QCD a…

アルゴンの分子動力学計算

やったことなかったので、アルゴンの分子動力学計算をやってみた。まぁ、ただのGromacsの使い方メモのような。使用したGromacsのバージョンは、4.6.1 原理的なことに関しては、分子動力学シミュレーションにおける温度・圧力制御第1回=能勢の熱浴と能勢・フ…

エルマンネットワーク

というのを実装して見た。リカレントニューラルネットワーク(RNN)の一形態?単純再帰型ネットワーク http://www.cis.twcu.ac.jp/~asakawa/waseda2002/elman.pdf import numpy as np def sigmoid(x): return np.tanh(x) def dsigmoid(x): return 1.0-x*x clas…

コヒーレント状態の有限群での類似物

1970年頃、PerelomovやGilmoreたちが、一般のLie群に対する、generalized coherent stateという概念を考えたのだけど、有限群の場合にも、コヒーレント状態の類似物を考えられるっぽい参考)coherent state物語 http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20130303#p2 v_1 …

ある種の位相的場の理論(Cohomological Field Theory)の"分配関数"(数学では、descendant potentialという呼び方をする時もある)は (1)何らかの可積分階層のτ関数になっている (2)Virasoro constraintsや、より一般にW-constraintsと呼ばれる(通常、線形偏微…

Coqと少しの圏論が分かる人向けのhomotopy type theory(その2)

その2。 ホモトピー群とEckmann-Hilton argument 型がweak ∞-groupoidだということが分かったので、weak ∞-groupoidに対して、ホモトピー群というものを定義する。type theory的には、ホモトピー群を定義する動機はあまりないけど、数学にinspireされて、(意…

Coqと少しの圏論が分かる人向けのhomotopy type theory(その1)

The HoTT Book http://homotopytypetheory.org/book/ が完成したらしいけど、どっちかというと、数学者向けに書かれてて500ページもある。homotopy type theoryで今できてることって、CoqやAgdaで書いたら、せいぜい数千行とか、そんなもんじゃないかと思う…

化粧水の生理学

化粧水は、厳密には成分が同一でないので、一般の化粧水の有効性を示す客観的なデータはないけども、多くの場合、保湿に有効(少なくとも何もしないよりはいい)というのは間違いないように思う。けど、実際のとこ、何が起きてるのか。 成分としては、大体、水…

Qunatum HadronDynamicsに関する覚書

Quantum Hadrondynamics in Two Dimensions http://arxiv.org/abs/hep-th/9401115 Rajeevは上記の論文で、2次元QCDのlarge N極限を、無限次元Grassmann多様体上の古典力学系として記述できることを示した。古典力学で記述できるのは、Yaffeが1982年の論文で…

離散的でない実データの相互情報量とtransfer entropyの推定

2つの確率変数が、互いに連動しているかを知る方法として、単純には、相関係数を調べればよいけど、相互情報量を見るという方法もある。一般には、確率変数が独立であることと相互情報量が0であることは同値であるけど、相関係数が0であることは確率変数が独…

ユニタリN=2超共形場理論の話

・有理共形場理論は、モジュラーテンソル圏(+ある種のmodule category)に全ての情報がエンコードされてる(はずである)こと(Moore-Seiberg,FRS) ・N=2超共形場理論では、有理性とユニタリ性が同値(らしい)こと ・ユニタリN=2超共形場理論のtopological twist…

コレステロールと中性脂肪

長寿のための"コレステロール ガイドライン 2010年版" http://www.amazon.co.jp/dp/4885193583 を読んだ。一般的な読み物というわけではないけど、日本脂質栄養学会という団体がまとめたもので、表紙には「LDLが高いと総死亡率は低い」「LDLは高い方が良い」…

留数を計算するアルゴリズム

Higher residueについて眺めていて、多変数留数を計算するアルゴリズムを調べようと思った Higher Residuesとその応用 (微分方程式の超局所解析) http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/102684 #Higher residueを理解したい動機は、以下…

酸化ストレスが老化を促進するという話は、色々と証拠があるように思う(それだけで老化が説明できるかはともかく)。20世紀終わりごろから、加齢に伴って増加する疾患の多く(癌、動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー病など)は、一種の炎症性疾患だという考え方…