最近読んで面白かった話

High Energy Asymptotics of Multi--Colour QCD and Exactly Solvable Lattice Models
http://arxiv.org/abs/hep-th/9311037

High energy QCD as a completely integrable model
http://arxiv.org/abs/hep-th/9404173

High-Energy QCD as a Topological Field Theory
http://arxiv.org/abs/hep-ph/9807451

Integrability of High-Energy QCD
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001208781


元々、高エネルギー極限(Regge極限)に於けるQCDを記述する有効理論として、Reggeon field theoryというのが70年代からあって、それは本質的に二次元の場の理論と同等らしい(このへんは、物理的な議論なので、あんまり理解してない)のだけど、更にlarge N極限を取ると、波動関数が正則部分と反正則部分に分かれるという、ありがちなことが起きて、正則部分だけ解けばよくなる。それで、正則部分のハミルトニアン(ハミルトニアンも正則部分と反正則部分に分解する)を見てやると、実は、XXX模型のハミルトニアンになっていることが分かる


但し、普通のHeisenberg模型では、各格子点に載ってるHilbert空間は、su(2)の二次元表現であるけども、今の場合は、各格子点にSL(2,C)の既約ユニタリ表現(主系列表現)が載っている。格子点の数は、丁度reggeon(reggeized gluonとかいうquasiparticle)の数に対応している。格子点に載ってるHilbert空間は違うのだけど、同じようにR-matrixとかL行列は決定できて、普通にXXX模型を解く手順を踏めば、固有値固有ベクトルの計算はBaxter方程式に帰着し、この系は解ける(というのは"嘘"で、Baxter方程式が一般に解けないので、固有値とか厳密には計算できないのだけど、ここまで出来ることを可積分と呼んでいる)


最終的に、一次元格子模型に帰着させてはいるものの、元の理論はちゃんと4次元時空で定義されていて、超対称性を仮定したりもしてないし、最初から二次元時空上の理論であったりもしない点で、他の"解けるtoy model"と比べると、一番現実的な模型で一線を画している気がする。