ころがるコインの安定性

転がるコインが倒れないのは、ジャイロ効果によると説明されるらしいけど、物理のセンス0のわたしにはジャイロ効果の説明を何度読んでもよく分からない。コマの場合と違って、きちんと方程式立てて計算してる文献がなかったので、一通り真面目に計算してみた。

座標として、
The Energy-Momentum Method for the Stability of Nonholonomic System
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.28.482
のFigure1.1で使われてるものを使用。コインの質量をM,半径をRとする。コインの厚みは無視、滑らないで転がると仮定する。


転がらないという条件から、コインと床の接触点Qの移動速度にnon-holonomicな拘束

がはいる。重心Oについては

から、重心の運動エネルギーが計算できる。


で、

という変数を使うと、Lagrangianが

と書ける。A,Cは慣性モーメント。これで、Euler-Lagrange方程式を計算すればよいと思いきや、それは間違った方程式を導くのだった。Euler角がまずいらしいけど、コマの場合とかは問題ないので、何がダメなのかはいまいちよくわからない。


仕方ないので、
http://ds0.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~tsaito/Advanced/PDF/advibration01.pdf
あたりを参考にしつつ、方程式を出す。結論としては、以下の4変数に関する4つの方程式が出る




但し、

とする。kは、1/4と決定できるけど、このままにしておく。


方程式が分かったので、安定性について調べる。
(1)の場合。コインは全く回転してない。方程式は

となって、は解になるけども、その近傍では不安定。これは当然


(2)の場合。

で、安定となりえる。これは、転がらずに、その場でスピンし続ける場合を表していると考えられる。回転速度が十分早ければ、倒れないというのは直感に反しない


(3)一般の場合。

から、の関数として解ける(という変数変換をすると、超幾何型微分方程式になる)。で、結局、ある関数Gについて

という形の方程式が残る。が小さいと仮定して、Gを展開して、一次の係数の正負を見てやれば、安定・不安定は決定できるはず。


そんな感じだけれども、不満点として、
・方程式の導出が気に入らない
・結局どのへんがジャイロ効果なのかよく分からない。


余談。この変数について、方程式からPoisson括弧を決定しようと思ったけど、挫折。





Fは、Jacobi恒等式から定数倍を除いて一意に決定できる関数で、0になると思うのだけど、本当かどうかは分からない。