一般に、滑らかな多様体X上の主G束Pがあると、associated bundleの構成によって、G-表現の圏Rep(G)からベクトル束の圏Vect(X)への関手が作られる。それぞれ、K群を作って、表現環R(G)から、K(X)への環準同型が得られることになる(特に名前はないっぽい)。引き続き、主G束Pを固定しておくと、似たような写像として、Chern-Weil mapというのがいた。これは、Lie環Lie(G)上のG-不変な多項式関数I(G)から、コホモロジー$H_{dR}(X)$への準同型を与える。この2つの写像を結びつけるものとしては、Chern characterがいる。これはK(X)から、H^{*}(X,Q)への写像である。というわけで、以下の3つの写像が在る(以下、係数体/係数環は、必要に応じて適宜読み替えること)

R(G) -> K(X)
         |
         |Chern character
         ↓
I(G) -> H^{*}(X) 

こういう風に書くと、この図を可換にするR(G) -> I(G)への写像がいないのは不自然な気持ちになる。
I(G) = H^{*}(BG,R)
はChern-Weil mapの元である(BGは分類空間)し、R(G)->K(BG)も簡単に得られる(K(BG)はR(G)と同型ではないが、Atiyah-Segal completion theoremというものがあって、"殆ど同型"らしい)ので、Chern characterによって、以下のような写像が得られる。
R(G) -> K(BG) -> H^{*}(BG,Q)

ということで、R(G)->I(G)も結局Chern characterによって書ける。しかし、私の知る限り、この写像幾何学的動機がないと考えてみようとは思わないタイプのもので、代数的に重要となる場面はないようである(ついでに、難しいことでないにも関わらず、文献で明示的に書かれているのを見かけない)。R(G)もI(G)も純代数的対象であるにも関わらず、不思議なことだと思う。ついでに、R(G)に謎のfiltrationを入れることができて、gr R(G)とI(G)を同型にできるらしい(この観点からすると、R(G):I(G)=K群:Chow群と思うべきようである)


参考)Chern classes for representations of reductive groups
https://arxiv.org/abs/math/0104031

The connection between representation theory and Schubert calculus
https://arxiv.org/abs/math/0306414


(Question)ところで、Gが有限群の時に、I(G)を定義する方法は、分類空間のコホモロジーを考えるのと、R(G)にaugmented lambda-ringの構造を入れてgr R(G)を作る2種類が考えられる。この2つは一致するのだろうか。私は、この分野(有限群のコホモロジー)について何も知らないので、答えはwell-knownである可能性は高いが


ついでに、Riemann-Rochの定理に出てくる登場人物として、Chern character以外に、Todd classがいるが、これはDuflo isomorphismというLie代数的な対象との関係が指摘されている(形式的には、(x/2)/sinh(x/2)あるいはx/(1-e^{-x})という形式的べき級数がどちらでも出てくる)
Lectures on Duflo isomorphisms in Lie algebras and complex geometry
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.184.5273