最近見た面白い論文のコーナー

Special functions and the Mellin transforms of Laguerre and Hermite functions
https://arxiv.org/abs/math-ph/0612085
Hermite多項式とLaguerre多項式のMellin変換は、ゼロ点がRe(s)=1/2上にある(そして、全て単純零点)という事実が、1980年代から知られているらしい。

このMellin変換が超幾何関数の特殊値で表せて(パラメータ(a,b,c)がsの関数として表せる)、関数等式が超幾何関数のKummerの関数等式の帰結として出てくるというのが新しい発見のよう(そして、Kummerの関数等式は、GL(4)のWeyl群作用からの解釈がある)

そしてまた、任意次元の水素原子の固有エネルギー状態のMellin変換(この場合のMellin変換の定義は論文参照)も、Re(s)=1/2上にのみゼロ点を持ち、いずれも単純零点であるとのこと。これの背景には、調和振動子の適当な波動関数($O(n)$対称性のある既約表現に属するという条件がついている)のMellin変換を考えると、やはりRe(s)=1/2上にゼロ点があるという話があるらしい。
A Local Riemann Hypothesis, I
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.23.7311


水素原子の束縛状態の空間(3次元の場合はso(4,2)の極小表現)は、振動子表現(Weil表現/Segal-Shale-Weil表現)の部分空間としての実現を持つけど、表現の異なる実現に於いて、このような性質を共有するのは意外。KS変換する前と後でMellin変換の結果が同じものになるのかどうかは確認していないけど、もし一致するのであれば、表現の実現の仕方に依存しない形で、Mellin変換が理解できるのか興味がある。わたしは数論には興味がないし、Riemann予想は解けたら何が嬉しいのか、さっぱり分からないので、今まで興味がなかったけど、表現論的に何か面白いことがあるのかもなぁという感じ