余代数

余代数というキーワードをあちこちで見かけるので、論文を眺めてみたけど、どういうメリットがあるのか、今一つよく分からなかったり。

(s,t,*)から作られる項代数を考える。*は二項演算で、以下a*bを単にabと書く。そして、やはりいくつかの等式(なんでもいいけど、ssst=tみたいな)が与えられてるとする。要するに、二元生成の半群。閉項の集合は、sとtからなる長さ1以上の有限列の全体と同一視できる。同値類から標準形を取るやり方は、a prioriには存在しないけど、項の間に適当な順序関係を与えて、KBアルゴリズムが停止すれば、項書換えによって、標準形を機械的に得られるようになる。自然数やリストなどは、(自由項代数の)商項代数と見なせるので、項書換えが非常に便利。便利どころか、それで全部の計算ができてしまう。効率は悪いけど

#グレブナー基底も、多項式の同値類から標準形を一つ選ぶ手段を与えるんだった

一方、sとtを記号集合とする、適当な正規表現みたいなのは、sとtからなる有限列の集合ではあるけれど、項書換えみたいな道具を直接使えない。商項代数には、項書換えという強力な道具があるのに、正規表現は単純に項代数と見なすこともできないし、項書換えを利用も出来ない。けど余代数と見ることが出来て、そうしてやると、何かいいことがある、ということなのかもしれない

#全然違うかもしれない。具体的にどう嬉しいのか分からない


#(2006/09/07)
正規表現を余代数と見れるって言い方は変。余代数と見れるのは、(多分)有限オートマトンで、正規表現は、その解と見るのが正確なように思う
http://d.hatena.ne.jp/m-a-o/20060906#p2