大雑把ではあるが

お住まい Gr(2,N) $M_{0,N}$ P^1(C) 
線形 wave equation (一般化)超幾何関数 Gauss超幾何関数
非線形 GASDYM方程式   Schlesinger   Painleve VI
量子論(非線形) KZ equation 量子Painleve VI

というような対応表がありそう。


非線形と書いているのは、ゲージ群がSL(2,C)の場合。Gr(2,N)はGrassmann多様体で、Wolf spaceというものである("Representation theory and ADHM-construction on quaternion symmetric spaces"という論文で、ADHM構成が一般化されている)と同時に、(一般化)超幾何関数も定義できる。また、$M_{0,N}$は種数$g=0$のN点付きRiemann面のモジュライ空間で、Gr(2,N)のChow quotientあるいはHilbert quotientというものとして実現できる(arXiv:alg-geom/9210002)。特に、N=4で特殊化したのが、最後の列。


#今の所、$M_{0,N}$の大域的な情報が必要になる場面はない気がするけど。
Equations for Chow and Hilbert quotients
https://arxiv.org/abs/0707.1801


それぞれの方程式がどこで定義されていると考えるのが一番自然であるかについて、コンセンサスがあるのかは分からない。比較的最近の論文を見ても、しばしば適当な局所アフィン座標上でのみ考えられていて、大域的な空間が何であるのかは書かれていないことも多い。表の意味としては、Gr(2,N)上の方程式を適当に簡約すると、$M_{0,N}$上の微分方程式が出るのだけど、希望的観測としては、Gr(2,N)上の方程式の解の"基底"をなす(古典非線形の場合は、線形性がないので、このようには言えないけど)のじゃないかと期待している。N=4の時、Gr(2,N)は複素Minkowski時空の共形コンパクト化であり、共形対称性も複素化して、sl(4,C)を考えるべきだと思うが、Gauss超幾何関数に於いて、この時空の対称性は、近接関係式として現れる。他のケースでは、時空の対称性は、どこに行ってしまったのか(私の知る限り)定かでないのだけど、超幾何関数同様、全部のパラメータをまとめて考えると、時空の対称性が見えてくるのでないかと思う(特に根拠はないけど)。CFTから時空の対称性を抽出する方法が分かれば僥倖という感じ


GASDYM(Generalized anti-self-dual Yang-Mills)方程式については、4次元以外では、2形式のHodge双対が2形式でないので、高次元化は自明でない。
Twistor Theory and the Schlesinger Equations
http://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-94-011-2082-1_3
では、twistor spaceの方で考えている。GASDYM方程式という名前が出てくるのは同著者らによる"Integrability, Self-duality, and Twistor Theory"という本のようである。4次元以外では、自己双対条件と反自己双対条件は、(少なくとも見た目は)互いに"双対"って感じではない


"量子論"の行は、古典論で対応するものは、量子化した後でも対応するだろうというだけのもので、そもそも、GASDYM方程式の量子化がよく分からないので、根拠は乏しい。まぁ、どちらかというと、この対応を手掛かりとして、量子GASDYM方程式を理解したいという気持ちがある